医療費が高額になるとき
高額療養費
かかった医療費の3割相当額を負担すればよいといっても、特殊な病気にかかったり長期入院したときは、多額な自己負担をしなければならないこともあります。このような場合の負担を軽くするために、自己負担限度額を超えた額が高額療養費として、後から現金で被保険者に健康保険から支給されます。(他の法令で公費負担される分は除きます)
高額療養費の算定は(1)各診療月ごと、(2)1人ごと、(3)各病院ごと(外来・入院別、医科・歯科別など)に行われます。
請求手続きは原則不要で、受診された月の3ヵ月以降に自動的に給付されます(※)。在職中の方は給与に合算し(一部例外の事業所あり)、任意継続の方は、取得時に申請いただいている金融機関口座にお振り込みいたします。
また、事前に高額な医療費の支払いが見込まれる場合は、ダスキン健康保険組合に「健康保険限度額適用認定証」の交付を申請し、その認定証を医療機関に提示すると、ひと月の支払額を自己負担限度額に抑えることができます。
ただし、高額療養費の支給には、自己負担限度額が年齢や所得によって異なるなど、法律によって一定の要件が定められています。
- (※)公費負担制度や医療費の助成制度に該当していると思われる場合、また、けが等の原因が判明するまでは高額療養費・一部負担還元金等の支払いが保留となることがあります。給付金の支払いが遅れているときにはダスキン健康保険組合までお問い合わせください。
入院時食事療養費
入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と入院患者が払う標準負担額でまかなわれます。
厚生労働大臣の 算出基準による食事療養費 |
- | 平均的な家計の食費と 比較した標準負担額 |
= | 入院時 食事療養費 |
入院時食事療養費は、療養費となっていますが、保険者が被保険者に代わって医療機関にその費用を直接支払うこととなっており、患者は標準負担額だけを支払うことになります。
一般の方 | 1食につき490円 |
難病患者、小児慢性特定疾患患者の方(住民税非課税世帯を除く) | 1食につき280円 |
住民税非課税世帯の方 | 1食につき230円 |
住民税非課税世帯の方で過去1年間の入院日数が90日を超えている場合 | 1食につき180円 |
住民税非課税世帯に属しかつ所得が一定基準に満たない70歳以上の高齢受給者 | 1食につき110円 |
- ※標準負担額など食事療養費に要した自己負担額については、高齢療養費の対象から除外されることとなっています。
- ※1日の標準負担額は、3食を限度とします。
入院時生活療養費
医療療養病床に入院する65歳以上の者の生活療養費に要した費用について、保険給付として入院時生活療養費を支給されます。
被扶養者の入院費用にかかる給付は、家族療養費として給付が行われます。
厚生労働大臣の 算出基準による生活療養費 |
- | 平均的な家計の食費、 住居費等と比較した 標準負担額 |
= | 入院時 生活療養費 |
区分 | 食費(1食につき) | 住居費(1日につき) | |
---|---|---|---|
課税世帯 | 医療区分Ⅰ(Ⅱ・Ⅲ以外の方) | 490円(450円)※ | 370円 |
医療区分Ⅱ・Ⅲ(医療の必要性の高い方) | 450円 | ||
難病患者等 | 280円 | 0円 | |
低所得者Ⅱ(住民税非課税世帯) | 230円 | 370円 | |
低所得者Ⅰ(年金収入80万円以下等) | 140円 | 370円 |
- ※管理栄養士等を配置していない保険医療機関に入院する場合は450円です。
高額な医療費を支払ったとき(医療給付金が自動給付にならない場合)
-
(1)在職者の資格を有している期間の受診であっても、資格喪失日以降の支払いとなるとき
(ただし、喪失後引き続き、任意継続被保険者の資格を取得する人は除く) -
(2)任意継続被保険者のうち、被保険者死亡による資格喪失の場合
(その他の理由による脱退については、これまでどおり請求不要です) - (3)公費負担医療(更生医療、育成医療等国の負担や、乳幼児医療、老人医療等地方公共団体の負担)を受けている人で、自己負担(所得に応じた費用負担)が発生したとき
高額療養費 家族高額療養費 |
= | 窓口自己負担額 (入院時の標準負担額を除く) |
- | 自己負担限度額 |
標準報酬月額 | 自己負担限度額 |
---|---|
83万円以上 | 252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
53万円以上79万円未満 | 167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
28万円以上50万円未満 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
26万円未満 | 57,600円 |
低所得者※ | 35,400円 |
- ※低所得者とは、市町村民税の非課税者である被保険者と被扶養者、または低所得者の適用を受けることにより生活保護を必要としない被保険者と被扶養者が該当します。
- ※非課税の考え方
前年8月診療分から当年7月診療分:前年度が非課税の場合が対象
当年8月診療分から翌年7月診療分:今年度が非課税の場合が対象 - ※入院時の食事療養に要した費用は、高額療養費の対象となる費用に含まれません。
- ※70歳以上の健康保険加入者自己負担等についてはこちらを参照してください。
合算高額療養費 付加金 (本人・家族) |
合算高額療養費が支給される場合に、その自己負担額の合計額(1ヵ月、合算高額療養費および入院時食事療養・生活療養にかかる標準負担額は除く)から50,000円を差し引いた額が支給されます。(算出額が1,000円未満の場合は不支給) 支払いは、病院から健康保険組合に送られてくる「診療報酬明細書」をもとに計算し、自動的に行いますが、支払いの時期はおおよそ診療月の3ヵ月後になります。 <けがの場合の付加給付金について> 付加給付金(一部負担還元金、家族療養付加金、合算高額付加金)はダスキン健康保険組合で給付要件にあてはまらないと判断した場合は給付の一部を制限することがあります。 (例) ・学校等のけがで日本スポーツ振興センター等、学校で加入している保険の給付対象の場合 ・スポーツ中のけがで団体・主催者側で保険加入し、給付を受けられる場合 ・第三者行為、交通事故、自損事故の場合のけが ・飲酒後のけが等 ・自傷行為によるもの その他、ダスキン健康保険組合で、付加給付の対象とはならないと判断したもの |
公費助成を受けているとき/受けなくなったとき
当健康保険組合では、被保険者や被扶養者の方が医療機関等に受診した際に窓口で支払う自己負担額が高額になり所得区分による一定額を超えた場合、高額療養費および付加金を医療機関からの請求に基づく計算後、所属事業所へ委任払いとし支給しています(個人からの申請は不要です)。
ただし、国や自治体(都道府県や各市区町村)では、難病、子ども、障がい者、ひとり親家庭等の要件に該当する者に対し、自己負担分を助成する「公費負担医療費助成制度」があります。医療費助成を受けている方が高額療養付加給付金の対象となった場合は、公費優先となりダスキン健康保険組合からの給付は対象外となります。
これまで、18歳未満の被扶養者であるお子様が高額療養付加給付金の対象となった場合は、公費対象の該当、非該当を調査のうえ、該当の場合は給付対象外としておりました。しかしながら、各自治体の子ども医療費助成要件が多様化しており、医療機関からの請求内容のみで確認することが困難となっており「医療費助成制度該当届 (新規・変更・終了)」を届出いただくこととなりました。以下に該当する方は、届出をお願いいたします。
■届出が必要なとき
- 国や自治体から医療証を交付されているとき
- 国や自治体から医療証を交付されている家族を被扶養者にするとき
- 転居等により公費助成の運営体や内容に変更があったとき
- 年齢や所得の制限により公費助成対象外となったとき
■主な公費負担医療助成制度
- ①子ども医療費助成
- ②重度心身障がい者医療費助成、福祉医療など障がいによる医療費助成
- ③特定疾患(指定難病)医療費助成 51・54
- ④小児慢性特定疾病医療助成 52
- ⑤ひとり親家庭等医療助成
- ⑥自立支援医療費助成(精神通院21・更生15・育成16)
- ⑦妊産婦医療費助成
- ⑧肝炎治療特別促進事業 38
- ⑨感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症) 28(新型コロナウイルス)
- ⑩生活保護法(医療扶助)12
- ⑪その他
- ※制度の名称は各市区町村等により異なることがあります。
上記以外の医療助成制度でも、医療費の自己負担が無料または軽減されている方は「その他」で届出ください(届出書には主な制度を記載しております)。
医療助成制度の資格要件や助成内容は自治体により異なります。
詳細は住民登録されている都道府県・市区町村の窓口にお問い合わせください。
後日、ダスキン健康保険組合の給付金と国や自治体からの助成金対象の「重複」が判明した場合は、公費優先となり給付金を返還していただくこととなります。
- 必要書類
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- 提出先:健康保険組合
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- 医療費助成制度該当届(新規・変更・終了)
病院の窓口での支払いを自己負担限度額までにしたいとき/
医療費が高額になりそうなとき
マイナ保険証を利用すれば、オンライン資格確認が導入された医療機関で原則として申請なしに限度額を超える支払いが免除となるため、事前の手続きが不要です。
但し、下記の方は申請が必要となります。
A.資格確認書の交付を受けている方
B-1.住民税非課税若しくは70歳以上の3割負担の方(マイナ保険証有り)
B-2.住民税非課税若しくは70歳以上の3割負担の方(マイナ保険証無し)
- 必要書類
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- 提出先:健康保険組合
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- 限度額適用認定申請書(70歳未満の上位所得者、一般所得者用)
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- 限度額適用・標準負担額減額認定申請書(市区町村民税非課税などの低所得者用)
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(1)申請書をダスキン健康保険組合へ提出してください。
- ※記入不備がある場合は認定に時間を要する場合がありますので、日程に余裕をもって提出してください。
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(2)A及びB-2:限度額適用認定証または限度額適用・標準負担額減額認定証を自宅へ郵送もしくは所属部署へ社内便で送付します。
B-1:証の交付はありません。(マイナポータルでご確認ください) -
(3)認定証が交付された場合は認定証を医療機関に提示し、有効期間が切れるまで大切に保管ください。
- ※有効期間内であれば、入院・外来を問わず、医療機関が変わっても使用できます。
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(4)認定証の有効期間が切れたときや資格喪失されたときは、ダスキン健康保険組合へ返却してください。
- ※引き続き認定証が必要な場合は、新たに申請書を提出してください。
もっと詳しく
- 高額療養費の負担軽減措置
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次のような場合は特例として、負担軽減措置が設けられています。
(1)世帯合算の特例
同一月、同一世帯内で、自己負担額が21,000円以上のものが2件以上ある場合は、自己負担額を合算し、合算した額が自己負担限度額を超える場合は、超えた額が合算高額療養費として支給されます。
(2)多数該当の場合の特例
1年(直近12ヵ月)の間に同一世帯で3ヵ月以上高額療養費に該当した場合には、4ヵ月目からは自己負担額が次のように設定されます。
●多数該当の場合の自己負担限度額(平成27年1月以降) 標準報酬月額 自己負担限度額 83万円以上 140,100円 53万円以上83万円未満 93,000円 28万円以上53万円未満 44,400円 28万円未満 44,400円 低所得者 24,600円
(3)特定疾病の場合の特例
血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群および人工透析を必要とする慢性腎臓疾患の長期患者は、特定疾病の認定を受けると、医療機関への支払いが10,000円で済みます。ただし、人工透析を要する患者が標準報酬月額53万円以上に該当する場合は、自己負担が1ヵ月20,000円になります。
- 高額介護合算療養費制度
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医療と介護の自己負担が著しく高額になる場合の負担を軽減するために、医療と介護の自己負担額を合算したときの年額の自己負担限度額が設けられています。
これは高額療養費の算定対象世帯を単位として医療と介護の自己負担額を合算し、その額が限度額を超えている場合、被保険者が申請をすれば、それぞれの自己負担の割合から限度額を超えた額を按分し、健康保険からは「高額介護合算療養費」、介護保険からは「高額医療合算介護サービス費」として支給されます。●自己負担限度額(年額 前年8月〜7月の1年間) 標準報酬月額 70歳未満の人がいる世帯
(*1)70歳以上75歳未満の人がいる世帯
(*2)75歳以上の世帯 83万円以上 212万円 212万円 212万円 53万円以上83万円未満 141万円 141万円 141万円 28万円以上53万円未満 67万円 67万円 67万円 28万円未満 60万円 56万円 56万円 低所得者Ⅱ(*3) 34万円 31万円 31万円 低所得者Ⅰ(*4) 19万円 19万円 (*1・2) 対象となる世帯に、70歳以上75歳未満の人と70歳未満の人が混在する場合は、
①まずは70歳以上75歳未満の人にかかる自己負担の合計額に、*2の区分の自己負担限度額が適用された後、
②なお残る自己負担額と、70歳未満の人にかかる自己負担額との合計額とを合算した額に、*1の自己負担限度額が適用されます。(*3) 70歳以上で世帯全員が市町村民税非課税の人等 (*4) 70歳以上で世帯全員が市町村民税非課税で所得が一定基準(年金収入80万円以下等)を満たす人等